大正・昭和前期に刊行された貴重な事典類を選定・復刻。文学研究や歴史研究等のレファレンスに最有用な資料集。
【特色】
❶現代文学が台頭してくる直前の「散文」や「詩」の用語辞典を復刻し、その時代のある一つの文学認識を検討する資料とした。とくに「詩」の用語では、当時の詩の捉え方(詩観)、美(文)意識などがよく分かる。また、初期の現代文学の重要な一翼を担ったプロレタ リア文学、文芸の実態を知ることができる、ピーク時の辞典を復刻し、当時の労働運動を知る資料とした。
❷代表的に『モダン語辭典』(1931年)、『現代術語辭典』(同前)、『モダン流行語辭典』(1933年)などを復刻して、新時代を知るには新語、モダン(現代)語を解することだという当時の清新な風潮を伝えることとした。殆どが新聞記事や雑誌などに拠って、最新の科学、医学、化学などから映画、スポーツ、娯楽にわたる殆ど全ての分野までを網羅しており、なかには版や刷りを40回以上重ねている資料もある。
➌『哲学辭典』を復刻し、主に古代から現代に及ぶ西洋哲学の理解に関わる、当時の日本の哲学水準の一端が理解できるようにした。約14年間で8版(刷り)を重ねており、日本の「近代」という時代に発行されよく利用された哲学辞典としては貴重である。『市場用語』解説辞典は国内市場は当然として、殊に米国市場を知らなければならない状況の下に発行されており、戦後の高度経済成長期には小説などに扱われることで、市場が広く国民の関心の対象になったが、現代の最初期の市場事情を知るには貴重である。
❹言語、言葉という観点からみれば、一国の力量は外国語を受容できる社会、文化の基盤があるのかどうかを問われるが、この企画では、『英語から生まれた 現代語辭典』と『外来語辭典』に特化して、現代初期の日本が受容した外来語を復刻した。前者は増補を含めて発行部数が100版(刷り)以上の利用実態であり、後者の収録語数は1万以上、引用・出典例は約6万の、収集の限りを尽くした辞典。
なお、全10冊の全ての辞典、事典、用語集に掲載されている収録語数はすべて各巻末の「書誌」に記してある。
第1巻『近代詩用語辞典』『プロレタリア文藝辭典』『文學新語小辭典』『モダン語辭典』『現代術語辭典』
第2巻『モダン流行語辞典』『増訂 哲学辭典 全』『最新 市場用語解説 別輯 英米市場用語詳解』
第3巻『外来語辭典』第4巻『英語から生れた現代語辭典』